IASBは、サプライヤー・ファイナンス契約の開示要求について、IAS第7号及びIFRS第7号の修正を公表しました。

IASBは、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の修正「サプライヤー・ファイナンス契約」を公表しました。

本修正は、サプライヤー・ファイナンス契約が企業の負債及びキャッシュ・フロー、流動性リスクのエクスポージャーに与える影響について、財務諸表の利用者が評価できることを意図しています。


本修正により、サプライヤー・ファイナンス契約の以下の特徴が追加されました(IAS第7号44G項)。
・資金提供者は、企業が仕入先(サプライヤー)に対して負っている金額を支払う
・仕入先が資金提供者から支払を受けるのと同じ日またはその後の日に、企業は当該資金提供者に対して支払いを行う

サプライヤー・ファイナンス契約により、企業は当初の請求書の条件に比べ、支払期限の延長または仕入先への支払期限の早期化というメリットを得ます。


本修正では、サプライヤー・ファイナンス契約に関する以下の開示要求を追加しています。
(a)各サプライヤー・ファイナンス契約の契約条件
(b)各契約について、報告期間の期首及び期末における以下の事項
  (i)契約の一部である金融負債の帳簿価額、及び財政状態計算書上の当該金融負債の表示科目
  (ii)上記(i)のうち、資金提供者から仕入先に既に支払われた金額
  (iii)以下のそれぞれについて支払期日の範囲
    ・上記(i)の契約の一部である金融負債
    ・当該契約の一部ではない、比較可能な営業債務
(比較可能な営業債務とは、例えば当該契約の一部である金融負債と同じ事業分野または管轄内の企業の営業債務)
(c)上記(b)(i)の契約の一部である金融負債について、非資金変動の種類及び影響
(非資金変動とは、企業結合、為替差損益の影響、現金もしくは現金同等物の使用を必要としないその他の取引)
(以上、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」44H項より)
・流動性リスクに関する情報
(IFRS第7号「金融商品:開示」B11F項より)


本修正は2024年1月1日以降開始する事業年度より発効し、早期適用が認められています(IAS第7号62項、IFRS第7号44JJ項)。また、比較情報及び期中報告の開示について経過措置が設けられています(IAS第7号63項)。

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